矯正治療をする目的で圧倒的によく聞くのは
「歯並び(噛み合わせ)を良くしてほしい」
です。
では良い歯並び、噛み合わせとはなにかと言うと非常に難しい話になります。
そもそも歯並びが悪いとなぜいけないのでしょうか?
見た目以外にも歯医者さんから伝えたいポイントがあります。
今回は正常な歯並び、噛み合わせを知るために異常な歯並び、噛み合わせ(不正咬合)のリスクと分類について説明したいと思います。
不正咬合のリスク
①審美的障害
見た目の問題です。これを気にされる方が多いです。もちろん良いに越したことはないです。
②機能的障害
ブラッシングが難しい部分では虫歯や歯周病の原因となったり、咀嚼障害(うまく食事をとることができない、噛めない)、顎関節症、口腔周囲筋や咀嚼筋の機能異常、それに伴い顎・顔面の発育異常に発展することがあります。
虫歯や歯周病がすすめば、さらに歯並びや噛み合わせが変化することもあり、歯医者さんが矯正を勧める理由はこちらを重視します。
つまり数十年後にもかわらず自分の歯で美味しくご飯を食べたり、楽しくおしゃべりができるかということを常に考えています。
不正咬合の分類
歯並びや噛み合わせを見る際にいくつかポイントがあります。
①上下のあごの水平関係を見る
堅苦しく書くと難しそうに聞こえますが簡単に言うと
・下あごがひっこんでいるように見え、いわゆる出っ歯の状態であれば上顎前突(じょうがくせんとつ)
・下あごが出っ張っており、いわゆる受け口の状態であれば下顎前突(かがくぜんとつ)
・下あごが左右どちらかにずれていれば交差咬合(こうさこうごう)
と、上あごと下あごの前後左右のずれの分類になります。
②上下のあごの垂直関係を見る
・前歯の噛み合わせが深く噛んでいると過蓋咬合(かがいこうごう)
・前歯の噛み合わせが浅く空いていると開咬(かいこう)
と、上あごと下あごの上下のずれの分類になります。
③歯とあごのサイズの関係を見る
・顎が歯に対して小さいので並びきらず、ガタガタの歯並びを叢生(そうせい)
・歯が小さく、いわゆるすきっ歯のことを空隙歯列(くうげきしれつ)
と歯のサイズとあごのサイズの不調和の分類になります。
これらは重複することも多く、例えば下あごが小さく前歯の噛み合わせが深く、また歯並びがガタガタしていると上顎前突の過蓋咬合で叢生有りという診断になります。
良い歯並び、噛み合わせになるために…
矯正治療には適切な時期があります。
また治療期間も年単位でかかることも多いので計画的に進める必要があります。
顎の成長を利用した治療などは特にその傾向が強いですし、学校の検診だけでは細かな指摘がしきれないのが実状です。
また不正咬合の理由がお口の周りの筋肉の使い方の問題である場合、装置を使用する以外にもトレーニング(MFT)によって改善することもあります。
小さな頃から定期的に相談できる歯医者さんを探しておくのが良い歯並び、噛み合わせになる為には必要なのだと思います。