TVコマーシャルでもおなじみなので聞き覚えのある方も多いと思います。
知覚過敏とは虫歯などの原因がないのに食事の際に食べ物がしみたり、歯ブラシでこすった際に痛みが出る状態のことをいいます。
歯がしみるので食事を楽しめないなんて損ですよね?
適切に処置することで症状が改善するので、我慢はせずに早めに受診するようにしましょう。
知覚過敏のしくみ
知覚過敏は歯の中にある神経が刺激によって反応しやすくなっている状態です。
歯の神経の周りを象牙質が囲っていますが、象牙質には細かい穴があいていて神経に通じています。
なので象牙質が何らかの理由でむき出しになってしまうと知覚過敏を起こしてしまいます。
知覚過敏の処置の流れ
まずは虫歯や神経の炎症による痛みではないことを確認します。
歯と歯との間や詰め物や被せ物の下は目では見えません。
虫歯は目で見る視診の他に、レントゲン写真による画像診断が有効です。
専門的な言葉で誘発痛といいますが、どのような刺激でどのような症状がでるかを確認することで神経の状態を把握します。
知覚過敏の場合、一般的には冷たいものがしみます。
しかし神経が痛んでいる場合、熱いものがしみだしたり、しみる時間が知覚過敏が瞬間的なのに比べ、長時間しみるようになります。
このような症状が出ている場合は知覚過敏の処置をするだけでは症状が改善しないので注意が必要です。
また知覚過敏の原因を正しく診断することも非常に重要です。
ますは症状を抑えるため知覚過敏が起こっている部分をコーティングすることで刺激を入らないようにしますが、あくまでも対処療法に過ぎません。
原因を探ることで再発防止の対策をすることができます。
知覚過敏の原因って?
原因として多いのは
1.歯周病で歯茎が痩せて根っこが露出する
2.歯ブラシでこすりすぎ、歯茎がえぐれて根っこが露出する
3.歯ぎしりや食いしばりで歯が欠ける
他にも、
お酢のドリンクや炭酸飲料を多量に摂取したり、嘔吐を繰り返すことで歯の表面が溶けてしまう酸蝕症(さんしょくしょう)や、
深い虫歯を処置した後の後遺症も原因となることがあります。
知覚過敏の治療方法
まずは症状を抑えるために塗り薬を使うことが多いです。
露出した象牙質の表面をコーティングすることで刺激が入り辛くします。
また歯ぎしりや食いしばりで根元が欠けてしまっている場合は樹脂の詰め物で欠けた部分を埋めます。
これらの治療は歯を削ることもなく処置ができるので患者さんへの負担は少ないです。
しかし神経自体をとってしまうわけではないので症状の程度によっては塗り薬を何度か塗り重ねる必要があったり、症状が軽減するだけで完全に消失するに至らないことがあります。
あくまでも最終手段ですが、症状が強い場合や、塗り薬では成果が出ない場合は神経を完全にとってしまうこともあります。
神経をとることで症状は完全に消失します。
しかし神経をとることで歯が割れやすくなったり、虫歯になっても痛みが出ないために気付かぬ内に進行してしまうので歯の寿命が短くなってしまいます。
よく相談した上で処置の方針を決めましょう。
また市販の歯磨き粉も有効です。軽度な知覚過敏であれば治ってしまいます。
多くの歯磨き粉に含まれるフッ素は知覚過敏に対しては緩やかに作用します。また、歯自体を強化して虫歯になりにくくなります。
シュミテクトなどに含まれる硝酸カリウムは象牙質の穴の中に結晶をつくることで刺激を入りにくくします。
一度しみなくなったからといって使用を辞めると再発することもありますので、予防的に使用するのも有効です。
また、原因を除去することも重要です。
歯周病や間違ったブラッシングによる歯茎下がりについては、日々のブラッシング指導や歯周病の治療が必要です。
寝ている場合の歯ぎしりが原因であれば睡眠中に装着するマウスピースを作成すること、食いしばりの癖や酸蝕症については生活習慣の改善が必要です。
最後に…
知覚過敏に限らず、痛みは身体の危険を知らせる信号でもあります。
放置することで重症化することもありますので、まずは相談してみましょう。